JCA/BOLLETTINO/GESTIONE
カルボナーラの原価構造 — チーズ15gの現実
カルボナーラは原価の読みやすい料理です。ただしチーズだけは別で、設計段階の見積もりと実際の仕入れ値が離れやすい。開業を検討している方に向けて、確認できた価格を並べます。
カルボナーラの原価は、卵・チーズ・豚肉加工品・パスタの4点でほぼ決まります。このうち卵とパスタは相場が読みやすく、豚肉加工品も業務用の流通が安定しています。問題はチーズです。
1皿に何グラム使うか
本協会が把握している専門店の使用量は、1皿あたり15gから25gの範囲に収まります。乳化のためにはある程度の量が必要で、減らすと味だけでなく、ソースの状態そのものが不安定になります。原価調整の余地が小さい材料だと考えたほうが安全です。
小売価格の実測
2026年時点で確認できた小売価格です。いずれも100gあたりに換算しています。
| チーズ | 小売価格 | 15g換算 |
|---|---|---|
| ペコリーノ・ロマーノ | 約480円 | 約72円 |
| パルミジャーノ・レッジャーノ | 約605円 | 約91円 |
| グラナ・パダーノ | 約399円 | 約60円 |
業務用の卸価格は小売より下がりますが、下げ幅は種類によって異なります。ペコリーノで100gあたり400〜500円、パルミジャーノで500〜600円というのが、現在確認できている範囲です。輸入価格の変動を受けるため、年単位では動くものとして見込んでおく必要があります。
原価率への影響
販売価格1,000円の基本の1皿で試算すると、チーズだけで原価の6〜9%を占めます。他の材料を含めた原価率は22〜23%程度に着地します。飲食店の一般的な目安である30%以内には収まりますが、開業計画でチーズを1皿30円と見積もっていた場合、1皿あたり30〜60円の差が出ます。
月2,000皿を提供する規模であれば、月間で6万円から12万円の差です。損益分岐点の計算に影響する大きさなので、計画段階で実際の見積もりを取ることをおすすめします。
言えること、言えないこと
ここに挙げた価格は、特定の時点・特定の銘柄で確認したものです。仕入先や取引量によって変わりますし、為替の影響も受けます。数字そのものより、「チーズは原価調整の効かない材料で、設計値と実勢値が離れやすい」という構造のほうを持ち帰っていただければと思います。
本協会では原材料の価格調査を継続し、年次で報告する予定です。仕入れ実績の情報提供にご協力いただける方はご連絡ください。
NOTE / 注記・出典
- 小売価格は2026年時点で確認したもの。銘柄はいずれもZanetti。
- 業務卸価格は複数事業者からの聞き取りによる推定範囲であり、確定した取引価格ではありません。
- 使用量15gは本協会が把握している範囲の中央値付近を採用しています。